BRIDGE TERMINAL SECIプレイスEvent Vol.19 20241003 片付けパパ対談シリーズ#25
「よい説明」には型がある。 ~ 聞き手の“上の空”をなくす 11のテクニック ~
登壇者:
犬塚 壮志様(教育コンテンツ・プロデューサー/株式会社士教育 代表取締役)
大村信夫氏(パラレルキャリア研究家・SECI プレイスアンバサダー)
日時:2024/10/3(木) 19:00~20:00
場所:オンライン(Teams)※アーカイブ提供はありません
会費:無料
申込:オンライン1,021名
主催:Mission Lab
後援・協力:BRIDGE TERMINAL / NPO法人SECIプレイス / Assemblage LLC / ideal brands.jp LLC
https://taidan-20241003.peatix.com
◆あなたは「結局何が言いたいの?」と言われた経験ありますか?
第25回目は、元・駿台のカリスマ講師であり、現在は教育コンテンツ・プロデューサー/株式会社士教育 代表取締役の犬塚 壮志さんをお招きし、
「よい説明」には型がある。
~ 聞き手の“上の空”をなくす 11のテクニック ~
より色々なお話をキュキュっと1時間にまとめて濃密に語っていただきました!
仕事でも日常生活でも、自分の話が相手に伝わらない居心地の悪さを感じることはありませんか?
働き方や生き方が多様化している現代では、自分とは異なる前提や価値観を持つ人とコミュニケーションを取る必要がありますが、そこで必要となるのは「言葉で説明すること」です。
今回お招きする犬塚さんは、駿台予備校のカリスマ講師として長年「説明すること」を仕事にしてきました。
その当時、実は犬塚さん自身も説明に苦労されていたそうですが、人気講師たちの授業を徹底的に研究したところ、よい説明には一定のパターン(型)があることに気づいたそうです。
そして自身もそれを実践したところ、担当講座は大人気となり、まさに日本一の人気講師にまでなったのです。
それらの内容をもとに、今年2月に「よい説明」には型がある。 (日経ビジネス人文庫)」が出版され、大変多くの反響がありました。
▼書籍(Amazon)https://www.amazon.co.jp/dp/4296119389
駿台予備校の講師時代、
2年目にしてクビになりそうになった経験から、
生徒からどうしたら聞き耳を持ってもらえるのか、
自分の説明のスキルをどうにかしないとと思って、
実施した膨大な授業時間を分析して編み出したノウハウの数々を惜しみなく出してくれました。
◆アイスブレイク
まずはアイスブレイクとして犬塚さんから、参加した皆さんに人に「何かを説明するときのお悩み」を教えてください、と振られました。
はじめに振られた大村さん、
今も何をどう話していいのかわからなくテンパるみたいなことがあるそう。
参加者からは、
「つまり、言いたいことはなんなの。って言われた。」
「たとえ話が難しすぎて余計分からないと言われた。」
「要約しすぎてフォローされた。」
などなど、あるあるがいっぱい挙げられました。
逆にこれまで説明が上手いなと思った事や人はありますか、という問いには、
「ステップを踏んで話ができる(人)」
「構造化して話せる人」
「たとえ話が上手い人」
「難しい言葉を使わないこと」
「イメージしやすい言葉のチョイス」
などなど。
大村さんからは「テンポとか口調もあるんじゃないか」と。
そうですね。
お悩みではないですが
「このチャットも説明なんですね。」とか
犬塚さんのような「教えることも説明なんですね。」という書き込みもあり、
なるほどと思えるアイスブレイクでした。
基本的には何ができないかってことと、どうなりたいかってことを、あらかじめ事前に見据えておくことが大切です。
それから、解決策としてどんなテクニックが必要なのか?と考える手順でなければ、ただテクニックだけをなぞってみても、そのテクニックもうまく使えません。
ビジネス書を読んでもテクニックが使えないっておっしゃる方ご自身の問題意識が明確でなかったりといったケースもあります。と犬塚さん。
◆説明が下手で予備校講師2年目にして追いつめられる
そんな犬塚さんですがはじめから説明が上手かったわけではなく、「しくじり先生」が出発点でした。
予備校講師の方は野球選手のような年間契約。成績(売上)が悪ければ1年でクビになる厳しい世界なんです。
人気講師は一つの季節講習だけで数百万の売り上げをたたき出すなか、犬塚講師は80万しかなかったそうで、講師生命が危ぶまれる状況に。
問題の解き方に秀でていても、それをどう伝えたらいいのか、分かりやすい説明で生徒から選ばれるにはどうすればよいのか、大いに悩んだそう。
ではどうやってそのピンチをチャンスに変えていったのか。
その場から逃げず、どんなに下手でも、失敗しても、構わず授業を入れてもらい場数を踏む作戦に出たのです。
どのくらいやったかというと年間1,500時間、1日平均で8時間、ずっと化学の話をしていたと。(犬塚さんは化学の講師)
数をこなすうち、どんなに下手でもたまには上手くいく時がある。犬塚さんはそこを見逃しませんでした。
説明は下手でも分析は得意な犬塚さん。上手くいくときはこんな時、反対に失敗するときはこんな時、と自分の音声、動画を撮って分析、パターン=「型」を発見します。
◆なぜ「説明」に「型」があるの?
「説明」って、ただ伝えるだけじゃないんです。相手に「わかる」ように、そして「面白く」伝えるためには、「型」 が大切なんです。
「型」 を使うと、どんなメリットがあるのでしょう?
- 迷わずに説明できる:スポーツでフォームを覚えるように、説明も「型」があるとスムーズにできます。
- 相手に伝わりやすい:効果的な「型」を使うことで、相手にあなたの考えがしっかりと伝わります。
- 説明が楽しくなる:様々な「型」を試すことで、説明することがもっと楽しくなります。
- 説明の悩みを解決:仕事で「説明が下手だ」と悩んでいる方、「型」を使うことで悩みを解決できます。
- 相手に伝わる説明のスキルアップ:相手にしっかりと伝わる説明のスキルになります。
◆説明が上手くなる方法~その前に大切なこと
「型」もひとつのテクニックですが、そもそもテクニック以前に説明が上手くならない根本原因がある、
それは
「受け手ファースト」になっていないから
よい説明は受け手ファースト(相手起点)でなくてはならないとと犬塚さんは説きます。
いくら要約が上手くても、いくら流暢にプレゼンしても、それ相手が知りたい事だったのか、受け手がどういう状況にあるのかを考えて、
伝えるべきことを組み立てたり要約したりしなければ、相手にとっては要らない情報になってしまいます。
ちょっと脱線しますけども、これを聴いてライターも ! はっとさせられたことがありました。
モノづくりも一緒じゃん!って。
ユーザーやお客様のことを考えない製品開発は成功しません。けれども作り手都合のプロダクトアウトで売れない売れないと悩んでいる企業のなんと多いことか。
マーケティングでも3CやSTPなど「型」を使いますがそれとて、お客様を慮るためのツールであって、相手の心に届くにはこころが大切なんですね。
◆説明とは何か
説明とは、それがどういうものかを相手に「わかる*」ように、「順序立てて」言うこと。
*「わかる」とは、外からの新たな「ことば(情報)」と、自分の中にある「ことば(知識)」とが合致すること、または結び付くこと。
連結化と内面化ですね。
ある知らない言葉が入ってきたときに私たちは自分の頭の中にある同種の情報と結び付けて覚えようとします。さらにいくつかの情報と結合することで知らない言葉を「わかる」ことができ、知らない→知る→わかる(理解する)の3ステップで知識に変換されるのです。
みなさんは「ケントの花」をご存じでしょうか?(知らない方が多いと仮定して話をすすめます)
→「ケントの花」とはリンゴの品種の一つです。(へー、と「ケントの花」と「リンゴ」が結び付きました。)
→ニュートンが万有引力法則を発見したリンゴの木が「ケントの花」です。(そうなんだ、と、ニュートンと「ケントの花」が結び付きました。)
どうでしょう、これであなたも “ニュートンが万有引力の法則を発見したリンゴの木の品種が「ケントの花」” と「わかる」ことができました。
発見のきっかけになったりんごの木は「ニュートンのりんご」と呼ばれ、今でもその木の子孫が現地で大事に保存され、この偉大な物理学者を偲ぶ記念樹となっています。また、苗木は世界各地の科学に関係のある場所に贈られました。https://www.ringodaigaku.com/study/study01c.html
◆「よい説明」とは
「よい説明」とは、情報を伝達することで、相手の感情や思考、そして
行動に変化を起こすことができる
説明です。
なぜ説明をするのか?に立ち帰れば相手(聴き手)に何らかの行動変容を起こしてほしいから、こその説明なはず。
そこに至らない説明では目的を達成しているとは言い難いのではないでしょうか。
変化を起こすには「情動*」を刺激することです。
ここに「型」を用いていきます。
*「情動」とは、心理学で感情・思考・行動に影響を与える短期的反応の一種、とされています。
◆説明を「型」にする
説明を「型」にすることには3つのメリットがあるといいます。
1. 説明を素早く組み立てられる
急に話を振られても型を使うと説明を素早く組み立てられて臨機応変に対応できます。
2. 説明が上手くいく確率が上がる
型にしても失敗することもありますがやみくもにやるよりは成功の確率が上がります。
3. 自分独自の「型」を生みやすくなる
はじめの内こそ「型」通りにやっていたとしても使い込んでいくうちに自分流にアレンジして使う、自分独自の型にして使えるようになります。
◆「よい説明」の型、一挙公開!
本邦初公開!著書にも載っていない特別な表をここでだけ載せちゃいます♡
1. メリット訴求
まずは相手にとって得になること、メリットを伝えましょう。相手のニーズは不満だったり不安だったり、解消したいこと。あるいはこうなりたいああしたいという願望が叶うならばそれはメリットです。
2. 対比
異なる二つの物事を並べて比べてもらう。一つだけだと良いのか悪いのか、比較対象があることで判断がつきやすくなります。平均値を伝えるのも有効、現在値がわかります。
3. 因果
原因と結果。原因を示すことでなぜそうなのか、結果の理解が深まります。
4. カットダウン
色々あるとき、全部を言わずに大切なことに絞って伝える。情報量の削減は聴き手の負担を軽減して、話を聞いてもらいやすくなります。
5. 破壊
今まで常識と思われていたことは、実は間違っていました!のように揺さぶりをかけて関心を引きつけます。否定から入るので配慮が必要な高等テクになります。
6. ニュース
人は新しいものに惹かれます。お古より新品、知っていることより知らないこと。拡散的好奇心。
7. 希少性
聴き手の知りたい欲求を刺激する。ここだけの話、限定情報、今だけここだけあなただけ。
8. 伏線回収
詳しくはCMの後で!チャンネルはそのまま!SNSでもアニメの伏線回収の話題で盛り上がってますね。
9. 決断誘導
選択肢を提示してその中から選んでもらえば迷走を避けられます。答えはもうアナタの中にあります。
10. 自己主張
まずは相手の論を受け止め(た振りをすることも?)、その上でかぶせる。持論に誘導する。受容でメンタルブロックを和らげます。
11. 欠如アピール
意図的にすべてを話さず重要なことを残しておく。あえて空欄や伏字を仕掛けてコンプリートしたい欲求に訴える。
◆本日の「裏」目的
「よい説明」には型がある。が今日のテーマでしたが、もうひとつ伝えたかった裏テーマがあります、と飯塚さん。
それは、
人の話し方や説明スキルを分析する視点を養う。
そして、それを習慣化する。
ことだと説きます。
今日の私の「説明」を聞いて「ここの部分は自分でも使えそう」とかそんなことを常に意識しながらみていただくと皆さんの中に取り込みやすくなると。
自分どう説明しようより他の上手い人の話の良いところを吸収しようと、その視点を持ってそれが習慣化できれば、だんだん取り込むのも楽になって、自分のものになっていってほしいなと思います。
◆さいごのワークはまさかの「そうきたか!」
さすがの予備校講師!ちゃんと生徒に復習させます。
で、これが模範解答。みごとな伏線回収になってました。
◆犬塚さんのミッション(使命)
知の伝承に貢献したい
ナレッジ を伝承するサポート
次の世代に引き継ぐ
知の伝承に貢献したい、ですね。やっぱり 説明も、結局1番最初のスタートが予備校講師として自分の持っている知識とかスキルっていうのを若い世代に伝えていくことでしたし、それを使って自己実現してもらいたいっていうところがやっぱりあったので。
デジタルも含めて、今すごく面白い時代でもあるかなと思っていて、いろんなことができるなと。
いろんな形で、これまでの枠にとらわれないで、いま素晴らしい人がたくさんいらっしゃるので、その方のナレッジ を伝承するサポートもできたらいいなと思っています。で、若い世代に引き継いでいきたいです。
***
◆らいたーずぼいす
いや~分かりましたよ、「よい説明」。相手の行動変容にまで影響を及ぼすことがよい説明なのですね。言われてみればその通り、「型」の説明をしておしまいのセミナーとそれで「勉強になりました」と満足の受講者、みたいな構図が目に浮かびますが、行動に移してもらわなければ意味ないですね。行動が変化しなければビジネス(でも何でも)結果につながらない。当たり前のことがどうしてできなくなってしまうのか、ここはまだまだムズカシイです。
「よい説明」には型がある~でお話しいただきましたが、「型」が分かっても行動しなければ意味がない。犬塚さんのメッセージはそこにあると受け止めました。
これは「説明」に限らずすべてに言えることではないでしょうか。ライティングでも...! 墓穴を掘ったところで筆をおきたいと思います。
「わかる」と「できる」♪そのためのツールが「型」。
犬塚さんありがとうございました!
***
◆講演資料のご案内 ならびに皆様へのお願い
資料はこちらからダウンロードできます。
講演者のご厚意での提供ですので、お取り扱いには何卒御留意ねがいます。
◆登壇者の情報
犬塚 壮志 (いぬつか まさし) さん
福岡県久留米市出身。元駿台予備学校化学科講師
東京大学大学院学際情報学府修了(学際情報学修士)
業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25才で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。
2017年、「教える仕事をしている人がもっと活躍できるビジネスを創る!」を理念に掲げ、駿台予備学校を退職。タレント性が極めて強い予備校講師時代の経験を生かしたプレゼンテーションの指導や、企業研修・人材育成プログラム・講座の開発、教材作成サポート、講師養成を請け負う「士教育」のサービス開始。オリジナル研修プログラムは大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。受講アンケートでは満足度95%超。2024年現在、DXやリモートワーク化が進むデジタル時代の企業における「ナレッジマネジメント」を最適化する独自の方法論を開発。学術知見に基づいた「研修(Off-JT)とOJTの連動」の推進、「e-Learning(収録型)とLIVE講義のブレンド」の実践を行い、現場で効果検証を繰り返す。専門領域は、「学習」「知能」。言語化やコミュニケーション、思考法やフレームワークの指導を得意とする。
主な著書に、累計5万部を突破した『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、電子含め含め5万部を突破した『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)などがある。最新刊は、『「よい説明」には型がある。』(日経BP 日経新聞出版)。
▼公式サイト
https://competency-branding.com/
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2024年11月30日(土)20:30-22:00 Zoomオンライン
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【SEECILALA限定イベント】会員の方はFBグループイベントページにリンクがございます。一般の方には後日アーカイブ公開を予定しております。
◆運営について
この活動は、NPO法人SECIプレイスの社会教育の一環としての位置付けでもあります。
運営メンバー(五十音順):青木千恵 青山純平 池上仁美 大崎功一 梶並珠美 田中やえ 中村恒司 原田篤史 眞島かな子 村松成治
レポート作成:NPO法人SECI プレイス
取材:田中やえ/村松成治/池上仁美
ライティング監修:清水美也子@Assemblage LLC
ライティング/WEB構成:水野昌彦@ideal brands.jp LLC
主催代表:大村信夫(片付けパパ)
NPO法人SECI プレイス